マウスピース矯正はしゃべりにくい?しゃべりにくくない?
投稿日:2024年11月27日
カテゴリ:矯正ブログ
こんにちは、巣鴨S歯科矯正歯科です。
先日、歯科矯正を取り上げたテレビ番組ででマウスピース矯正の経験者の方が
「しゃべりにくくて、仕事にならなった」とおっしゃったことから、
「マウスピース矯正ってしゃべりにくいですか?」という、ご質問を良く受けます。
ここでは、マウスピース矯正と発音についてお話していきます。
「あ・い・う・え・お」と母音は口の形を変えるだけで発音できますが、
子音を発音するときには、口の形が触れる場所で音が作られます。
舌が歯に触れてできる音のことを歯音(しおん)と、舌が歯茎に触れて出る歯茎音(しけいおん)があります。
歯音(しおん)はサ行、ザ行、シャ行 など
歯茎音(しけいおん)はタ行 など、 英語では t、d、n など
(そのため、歯並びや噛み合わせ、舌の癖なども発音に大きく影響することがあります。このお話はまた改めて別のブログでお話しましょう。)
マウスピース矯正がしゃべりにくいと言われる原因は2点
マウスピース型矯正装置【インビザライン】がしゃべりにくいと言われる原因は2点
1つはマウスピースの形によるものです。
もう1つは歯並びが治療計画通りに治っていない為マウスピースが浮いている状態
「アンフィット」が起きてしまっているからです。
マウスピースの形態と発音について
発音の時に舌先が当たる部分にちょうどマウスピースがの端が来てしまう為、歯茎音に影響します。
これに関しては大人でも2,3日ですぐ慣れるものですが、
マウスピース型矯正装置を作っている会社はたくさんあり、各社マウスピースの形態が違います。
その中でも最大手のインビザライン社の物は、マウスピースの縁の形が比較的発音に影響が少ない形態をしていると思います。
下の青い模型に装着してあるマウスピースは、ㇲトレートカットと呼ばれる形態の物です。
マウスピースの製作工程では作りやすい形なのですが、
発音の時に舌先があたる部分にマウスピースの厚みがあるため、慣れるまで
‘舌っ足らず‘のような話し方になってしまうことがあります。
【ストレートカットのマウスピース】
2つめのピンクの模型に装着してあるマウスピースでは、
マウスピースの縁の形態が歯頚部(歯と歯茎の境目)の形に添っている為(スキャロップカット)、
慣れればマウスピースを入れていても、普段の話し方と遜色なく話せます。
(私もインビザラインを装着して診療に当たっていますが、活舌に何ら問題なく患者さんとお話をしているので、マウスピースをしていると言うと驚かれるほどです)
【スキャロップカットのマウスピース】
アンフィットと発音について
もう1つの大きな原因は、「アンフィットを起こしてしているから」
つまり、マウスピースが合わなくなってしまっている状態です。
こちらは歯音、歯茎音どちらにも影響します。
歯茎音を発音するときには、マウスピースの縁の形態が歯頚部(歯と歯茎の境目)の形に添っていたものが浮いてしまい、舌先が当たる位置でマウスピースが邪魔になりしゃべりづらくなります。
【きちんと適合しているマウスピース】
【アンフィットが起きているマウスピース】
また、アンフィットを起こしていると勿論噛む面でもマウスピースが浮いているため、
歯音を発音するときにも邪魔になりしゃべりづらくなってしまうのです。
アンフィットを起こすと、歯並びが治療計画通りに治って行かない以外にも
しゃべりづらさという日常生活での煩わしさも出てしまうかもしれません。
舌の癖と発音について
発音という点ではもともとの舌の癖があって
さらにマウスピースが入る為に、しゃべりにくさが出てしまうという患者様(おそらく初めに出てきた、テレビ番組でマウスピース矯正について話してた方はこのタイプ)もいらっしぃます。
その場合には、お口のトレーニング(口腔筋機能療法MFT)を一緒に行うこともあります。
マウスピース型矯正装置は、基本的に「お食事と歯ブラシの時以外はつけている」という装置なので、
日常生活のいろいろな場面での付け心地も気になるところだと思います。
マウスピース型矯正装置はしっかり使っていくことがなるべく快適に、順調に歯並びが改善していくコツとも言えます。
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