奥歯が前歯を守り、前歯が奥歯を守る!~安定した咬み合わせ~
投稿日:2022年3月31日
カテゴリ:矯正ブログ
こんにちは、巣鴨S歯科矯正歯科です。
本日は安定した咬み合わせについての投稿です。
みなさんは安定した咬み合わせと聞かれたらどのような歯並びの状態を思い浮かべますか?
みなさんのほとんどは、歯がきれいに並んでいる状態を想像されるかと思います。
しかし、見た目が良いだけでは安定した良いかみ合わせであるとは限りません。
一見、見た目が良くても咬み合わせが深い過蓋咬合や
前歯同士の覆いかぶさる量が少ない切端咬合
な場合があるのでしっかりと歯科医師の診断を受けておくことが大切です。
ではなぜ、歯科医師の診断を受けておくことが大切なのでしょうか。
例えば、
・奥歯の虫歯を歯科受診するたびに指摘され治療を繰り返している
・奥歯が痛くて歯科を受診してレントゲン等の診査をしても虫歯も歯周病も何もないと言われた
・奥歯がたまに痛むが数日経つと痛みがなくなる
・咬み合わせが原因で痛みが出ていると言われた
などが当てはまる人は要注意です。
咬み合わせが原因になっている可能性があります。
そこで今回は安定した咬み合わせの一つであり、矯正治療を行い目指すべき咬み合わせ様式である
犬歯誘導(けんしゆうどう)を紹介いたします。
犬歯とは
まず初めにそもそも犬歯ってなんですか?という方もいるかと思いますので簡単に説明です。
一番前から数えて3番の歯で尖っている歯のことを言います。
糸切り歯とも呼ばれたり、歯並びが正常でない犬歯は八重歯とも呼ばれますね。
犬歯の役割は犬やクマなどの尖った歯を想像していただくとわかりやすいかと思います。
食事の際、お肉などを切り裂いたりすることが目的のため、このような形態をしていると言われています。
歯冠(歯肉より上の見えている歯の頭部分のこと)、歯根(骨に埋まっていて歯を支えている根のこと)どちらも全ての歯の中で一番長く、頑丈で一番長持ちする歯と言われています。
この犬歯をいかに保存していくか、を考える勉強会もあります。(日本で一番古い勉強会ですね。)
それくらい犬歯はとても重要な役割をする歯なのです。
犬歯誘導(けんしゆうどう、カスピッドプロテクテッドオクルージョン、cuspid protected occlusion)とは
歯科医院で虫歯やかぶせ物を治療してもらうと、かみ合わせの確認で
カチカチ噛んでもらったり、
歯軋りをしてもらったり
した経験はありませんか?
私たち人間は、噛んで食事をするとき、3次元的に色々な方向に動かしながら咀嚼しています。
それをなるべく再現するために、
垂直方向(カチカチ)
横・前後方向(歯軋り)
と動かすようお願いしてかみ合わせをチェックしているわけです。
理想的な歯並びとかみ合わせだと、
垂直方向(カチカチ)の時は上下の歯はすべて噛み合い、
さらに犬歯誘導が達成できている咬み合わせは、
かみ合わせた状態から下顎を左右に動かしたとき、
犬歯だけがぶつかり、他の歯がぶつからない状態になるわけです。
つまり、顎を横に動かしたとき、
一番耐久性のある犬歯がぶつかってくれることで他の歯の負担を軽減しているんです。
さらに、奥歯の意外な特徴ですが、
奥歯・・・縦方向の力(カチカチ)には強いが横方向(歯軋り)には弱い
のです。
前歯の犬歯は歯軋りしたときの奥歯を守っているんですね。
犬歯誘導は、英語でcuspid protected occlusionと言います。
cuspid ;犬歯
protected ;保護する、守る
occlusion;かみ合わせ、咬合
名前の通りですね。
本日のまとめ
犬歯誘導とは
カチッと噛んでから横にずらして歯軋りのような動きをしたときに犬歯だけがぶつかり、奥歯が離れていくかみ合わせのこと。
これにより奥歯に過剰な負担がかからなくなり、奥歯の保護へとつながる。
犬歯誘導が達成できていないと・・・
奥歯に前後・横方向(歯軋り)の力が強くかかり、
奥歯にヒビ、亀裂が入る
亀裂が入ったところから虫歯になる可能性が高くなる
奥歯が欠ける
咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)になり知覚過敏や痛みの原因となる
奥歯に過剰な力が加わり、歯周病のスピードが加速する
顎関節に負担がかかりすぎて顎関節症になる可能性が高くなる。
いかがでしたでしょうか。
矯正治療やかみ合わせの治療を行い、
犬歯誘導をはじめとした適切・理想的な歯並びを獲得することは
歯や顎関節を守ることに繋がります。
究極の予防方法であり、究極の投資ですね。
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