咬合治療
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歯科治療の根幹である咬合治療(咬み合わせの治療)について
巣鴨S歯科矯正歯科では、歯科治療の根幹である咬合治療(咬み合わせの治療)に力を入れております。歯並びが綺麗であっても、上下の咬み合わせが悪いと、正常な咀嚼ができないだけでなく、顎関節や全身にも悪影響を及ぼす可能性があります。当院では補綴の調整などを中心に、患者さま一人ひとりの症状に適した咬み合わせ治療をご提案いたします。
こんな症状はありませんか?咬み合わせの不調・顎関節症の症状
- 顎がパキパキと音がする
- 口を大きく開けた際に顎の関節に痛みを感じる
- 歯ぎしりを人から指摘されたことがある
- 強く食いしばる癖がある
- 口を大きく開けることが難しい
- 歯が割れたことがある
- 歯のすり減りが気になる
つめ物の破損や入れ歯が合わないのは咬み合わせのせいかも?
顎関節や咬み合わせがズレていると、顔が歪んだり、顎が鳴ったり、つめ物が破損したり、入れ歯がすぐに合わなくなったりすることがあります。※さらに不定愁訴と言われるような肩こりや頭痛などの原因不明な体の不調を引き起こす場合もあります。
土台である咬み合わせを整えることが重要です
歯は顎の上に並んでいるため、どんなに精密なつめ物やかぶせ物を製作しても、土台である咬み合わせや顎の位置がズレていては、良い状態を維持することは困難です。
身近なもので例えるならば、傾いた土地に豪華な家を建設するようなもので、地盤がしっかりしていないとちょっとしたことで壁に亀裂が生じたり、倒壊する可能性もあります。
ですから、つめ物や入れ歯などを良い状態で長持ちさせるためには、咬み合わせや顎の位置を整えておくことが重要です。
咬み合わせの治療方法について
補綴治療
補綴(ほてつ)とは、人工物を用いて歯の機能を補うことをいいます。当院ではつめ物・かぶせ物や入れ歯などの補綴治療を中心に、左右の咬み合わせや顎のズレを補正し、適切な咬み合わせへと改善致します。
スプリント治療
スプリントと呼ばれるマウスピースを装着し、左右の咬み合わせや顎関節を適切な位置へと改善します。違和感などがあれば、その都度スプリントを調整し、少しずつ正常な咬み合わせへと誘導していきます。※スプリント治療後、必要な場合には矯正治療を実施し、患者さま本来の正常な咬み合わせを調整します。
咬合治療によって顎関節症・補綴物の破損を改善した症例
咬合治療によって顎関節症・補綴物の破損を改善した症例をご紹介いたします。
初診時の口腔内
- 顎がパキパキと音がする
- 顎の関節に痛みを感じるときがある
- 歯が割れて再治療、が何年も続いている
- 歯のすり減り、咬み合わせが低く感じる
上記を主訴に来院された患者様です。顎関節症状をお持ちで、咬み合わせが深く臼歯に欠損が生じており、咬合崩壊が始まりつつある状態でした。また、被せ物をやり直しても破損・破折が生じ、再治療を繰り返すことに嫌気がさし、根本的な改善を求めて来院されました。
診断
歯周病
顎関節症
欠損歯列
歯列不正、不正咬合、下顎左側4番先天性欠如
その他、歯根破折、慢性化膿性根尖性歯周炎、不良補綴物
患者様のお口の中を診査・診断したところ、様々な問題を抱えた状態でした。もともと歯列不正や先天性欠如を抱えた方の口腔内は、どこかに問題が生じて歯を失ったりするとバランスが崩れてしまい、次々とさらなる問題が生じて歯をどんどん失っていくことになります。
治療計画
【短期的な治療計画及び目標(治療開始〜4ヵ月)】
①歯周病:歯周基本治療を始めとした歯周病治療を継続して行います。
②顎関節症:スプリント療法を行い、顎関節症状を緩和させます。
③欠損歯列:暫間補綴処置を行い、欠損部位でもしっかり咬めるようにします(咬合支持の達成)。④歯列不正、不正咬合、下顎左側4番先天性欠如:患者様は矯正治療をご希望されなかったため、可能な範囲で崩れてしまった咬み合わせの位置関係を健全な状態に回復させます。
【長期的な治療計画及び目標(4ヵ月〜1年半)】
①歯周病:歯周病の重症化を予防し、維持安定を行ないます。
②顎関節症:症状が再発しないように、咬み合わせの状態を維持させ、顎関節に負担をかけないように咬合力のコントロールを行います。
③欠損歯列・⑤その他:1歯ずつ丁寧な治療を行い、最終的補綴を装着します。
ワックスアップ・仮歯の製作
咬合器に上下顎模型を装着し、欠損部位の補綴物のデモンストレーション(ワックスアップと呼びます)と仮歯の製作を行います。また、スプリントの製作を行います。本ケースで使用するスプリントは日中も装着してもらうことから違和感が少ないとされる下顎に装着するタイプを使用しました。
咬合治療の開始
上顎の欠損部位に仮歯を装着し、臼歯部での咬合支持の確立を行いました。奥歯でしっかり咬めていなかったため、前歯に過度な咬合力が加わり、空隙歯列(すきっ歯の状態のこと)となっていました。歯周病治療も並行してしっかりと行うことにより、歯周組織に改善が認められ、臼歯部での咬合支持の確立は下顎前歯による上顎前歯部への突き上げを緩和し、空隙歯列が改善してきていることがわかります。※①歯周病:歯周病治療については省略いたします。
下顎に装着されたスプリント
スプリントの装着を開始したときの写真です。スプリントの厚みは臼歯部にて1mm程度と最小限の厚みとし、顎関節症状の緩和を目指します。
本症例に用いたスプリント
熱可塑性レジンを用いて製作しました。既製シートを圧接したタイプよりも耐久性が強く、破損、変形に強いことが特徴です。上顎に用いるタイプと比べ、下顎に用いるタイプは違和感、発音・発語障害が少ないとされています。
顎関節症状の経過観察・スプリントの調整
2週間ごとに来院していただき、顎関節症状の経過観察とスプリントの調整を複数回行いました。顎関節症状(顎関節音、顎関節疼痛)は1ヵ月程度の使用で消失しました。
咬み合わせの位置関係を健全な状態へと回復しました。
顎関節症状が落ち着いた状態の咬み合わせは、顎関節に負担をかけない健全な咬み合わせであると考えられます。スプリントは咬合調整および使用時による咬耗にてだんだんと薄くなり、咬み合わせに不要な部分はなくなっていきます。スプリントの分厚く残ってしまう部位は、咬み合わせが足りない部分(補綴物の高さが足りない部位)となります。
本症例では、スプリントの右下顎6・5・4番の既存補綴物の部位に厚みが残りました。スプリントを切断し仮歯を製作する特殊な手法を用い、スプリント装着時の咬み合わせの高さを患者様ご自身の咬み合わせにトランスファーしました。
プロビジョナルレストレーション(最終的な調整を行うための仮歯)
咬み合わせの高さを維持しプロビジョナルレストレーションに置換します。
プロビジョナルレストレーションで経過観察を3ヵ月行いながら、必要部位の虫歯治療、歯内療法を行い、最終補綴を行います。
最終補綴物の製作・装着
通法に従い、精密印象、咬合採得、試適、装着の順で治療を進めました。
最終補綴であるメタルボンドクラウン、ブリッジは上顎をメタルオクルーザル(咬合面を金属で強化した)のデザインとしました。咬合面が金属となるため審美性に劣りますが、セラミックスの咬耗・破損・破折のリスクが減り、咬合状態の維持安定へと繋がります。下顎は審美性を優先し、フルベイク(歯に被せる金属の外側全部をセラミックで覆ったもの)のデザインです。
3年経過時の口腔内
歯周病のメンテナンスを行うだけでなく、咬合管理も行います。メンテナンス時には必要に応じて咬合調整を行います。偏心運動時の咬合接触も問題なく臼歯離開が達成・維持され、経過は良好です。
【右側方運動時の咬合接触】
【左側方運動時の咬合接触】
【前方運動時の咬合接触】
初診時~咬合治療後5年経過までの比較
来院時の主訴であった顎関節症状や補綴物の破損による再治療の繰り返しは、最終補綴装着後に起きておらず、当時のことを患者様ご本人も忘れているほどです。
年齢/性別 | 70代 女性 |
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治療期間 | 1ヵ6ヵ月 |
治療回数 | 20回(歯周病治療、歯内療法を除く) |
治療費 | 総額 1,381,000円(税込) 【内訳】 自費 スプリント製作料 55,000円 自費 スプリント調節料 5,500円/回 4回 自費 メタルボンドクラウン 158,000円/歯 7歯 自費 仮歯 5,500円/歯 7歯 自費 プロボジョナルクラウン 11,000円/ 歯 7歯 自費 ファイバーコア 16,500円/歯 3歯 自費 メタルコア(ゴールド) 33,000円/歯 1歯 |
リスクなど | ・スプリントの装着により、違和感、顎関節症状の悪化、疼痛が生じる可能性があります。 |
巣鴨にて歯科の根幹である咬合治療をご希望の方へ
巣鴨S歯科矯正歯科では、歯科の根幹である咬み合わせ治療に力を入れております。診査・診断結果や患者さまのお悩みを考慮し、適切な治療法をご提案いたします。巣鴨にて咬み合わせ治療をご希望の方はぜひ、当院までお気軽にご相談ください。